
社員にAmazonギフトカードを配ると課税されるって本当?会社として抑えておくべき会計処理を解説
「社員のモチベーションを高めるためにAmazonギフトカードを配りたいけれど、税金はどうなるのだろう?」
そう悩む経営者や人事担当者の方は少なくありません。
結論を先にお伝えするとAmazonギフトカードのような金券を社員に渡すと、原則として給与扱いとなり給与所得として課税され ます。ただし、配布の目的や方法によっては福利厚生として非課税にできる可能性があります。
※Amazon、Amazon.co.jp およびそれらのロゴは Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
本記事では
- ・なぜAmazonギフトカードが課税対象になるのか
- ・どのようなケースな ら非課税で処理できる可能性があるのか
- ・会社として押さえておくべき会計処理や源泉徴収の注意点
を中心に、具体例を交えてわかりやすく解説します。課税・非課税の線引きを理解し、安心してギフトカードを活用できる仕組みづくりにお役立てください。
配り方次第で税務の扱いが変わる
Amazon ギフトカードを配布しても、「なぜ・誰に・どのように」渡すかで課税区分は大きく変わります。まずは課税・非課税が分かれる代表的なケースを整理しておきましょう。
課税される場合
- 社内表彰や創業記念として配布する場合
原則として給与所得扱いになります。※例外規定あり(要件を満たす場合) - 業績達成の報奨金代わりに渡す場合<
成果に対する報酬とみなされ、課税対象です。 - 特定の社員だけを対象に配る場合<
平等性がないため福利厚生とは見なされず、給与課税の可能性が高くなります。
課税されない場合
- 結婚祝いや出産祝いなど慶弔見舞いとして配布する場合
就業規則等に根拠規程があり、金額が社会通念上相当と認められれば福利厚生費として非課税処理できる余地がありますが金券は課税判断が厳しく、高額支給や限定配布はリスクが高いため要注意です。 - 全社員に一律・少額(おおむね 5,000 円以下)を支給する場合
規程に基づく定期的な支給であれば非課税と認められる可能性があります。ただし目的・金額・頻度を含め、税務調査では詳細なエビデンスが求められる点を忘れないでください。 - 永年勤続表彰に該当する場合
勤務年数(例:10年以上)や支給内容が社会通念上妥当であれば非課税とされることがあります。ただしギフトカードでの高額支給は課税判定を受ける場合があるため、金額設定には慎重な判断が必要です。
なぜAmazonギフトカードが課税対象になるのか?
商品券は「現金に近い」扱い
税務上、Amazonギフトカードや商品券は「現金に近いもの」として扱われます。そのため、企業が従業員に支給すると『給与としての性質がある』と判断され、原則として所得税の課税対象となります(国税庁通達 36-22)。
自由度が高い支払い手段であるため、税務上は「福利厚生の現物支給」ではなく報酬と判断されます。これが課税対象となる主な理由です。
給与として扱われる具体例
以下のようなケースでAmazonギフトカードを配ると、金額はすべて給与に加算され、源泉徴収が必要になります。
- 営業成績優秀者への表彰
半期売上1位の社員に30万円分を贈る場合。業務成果に対する報酬とみなされ、所得税法上の給与所得になります。 - 創業記念で全社員へ一律配布
たとえ全員に同額を渡しても、金券は「現金同等物」です。創業記念や周年記念などの名目であっても、原則として給与課税の対象になります。 - プロジェクト完成記念
プロジェクトメンバーに5万円分を支給するケースも同様です。業務達成への対価と解釈され、給与所得として課税対象となります。
金額が高額になるほど税務上は報酬性が強いと判断され、福利厚生費として非課税で処理するのが難しくなります。また、課税判定では名目よりも「金券かどうか」が重視されるため、たとえ記念品として配布した場合でも、ギフトカードであれば原則として課税対象になる点に注意が必要です。
課税対象外とされる可能性がある場合:福利厚生費として認められるケース
慶弔見舞いは非課税
結婚祝いや出産祝いなどの慶弔見舞金は、全従業員を対象とし、かつ社会通念上妥当な金額で支給される限り、福利厚生費として取り扱われ非課税となる余地があります。
ただし Amazon ギフトカードのような金券や電子マネーは現金に極めて近いため、たとえ慶弔目的でも給与として課税を指摘されやすい点に注意が必要です(所得税基本通達36‑22)。特に高額だったり一部社員だけを対象にした場合は、課税リスクが高まります。
福利厚生費として認められるための4つの条件
福利厚生費として非課税にするには、次の 4つの条件をすべて満たす必要があります。(出典:国税庁「交際費等と福利厚生費との区分」):
- 1. 全従業員に平等
- 制度上、すべての従業員が公平に利用できること。特定部署や役職のみ対象では認められません。
- 2. 社会通念上相当な金額
- 支給額が常識的な範囲に収まっていること。例として結婚祝いで100万円分のギフトカードを配布すれば、過大と判断され課税対象になります。
- 3. 規程の整備
- 労働協約・就業規則・社内規程などに支給理由と金額を明記しておくこと。曖昧な運用や口頭支給では認められない恐れがあります。
- 4. 継続的かつ定常的な実施
- 単発ではなく制度として継続的に行われていること。突発的な支給のみでは福利厚生費として扱われにくくなります。
会社側の処理と注意点
源泉徴収の義務が生じる
Amazon ギフトカードを給与や報奨として配る場合、その金額は現物給与に相当します。会社は他の給与と同様に源泉徴収を行い、年末調整で清算しなければなりません(所得税法183 条)。副業や医療費控除など従業員側の事情で確定申告が必要になるケースはありますが、基本的な源泉徴収・納付の責任は会社が負います。
計算漏れでも責任は会社側
ギフトカード支給分を給与に含めず申告漏れとなった場合、不納付加算税や延滞税が課されるのは会社です。従業員の側に故意がない限り脱税を問われることはありませんが、会社は追徴税と併せてペナルティを負担することになります。支給額や支給時期を漏れなく給与計算システムへ登録し、月次で源泉徴収を行う体制が必要です。
会計処理は「購入時」と「支給時」を仕訳け
購入時
Amazon ギフトカード購入は資産の振替にすぎず、経費とはなりません。
- (借方)商品券 10,000円(貸方)現金 10,000円
現金が商品券という資産に振り替わっただけであり、費用ではありません。
支給時
給与として支給:
- (借方)給与手当 10,000円 (貸方)商品券 10,000円
同時に源泉徴収を行い、納付書へ反映します。
福利厚生費として支給:
条件(全従業員対象、就業規程に明記、金額が常識的など)をすべて満たす場合は福利厚生費として計上できます。
- (借方)福利厚生費 10,000円 (貸方)商品券 10,000円
支給目的や金額によって科目が変わるため、「購入時は資産」「支給時に費用化」という二段階処理を徹底してください。
消費税の取り扱い
購入時は非課税
Amazonギフトカードの購入には消費税はかかりません。
Amazonギフトカードの購入自体には消費税がかかりません。商品券や旅行券、テレホンカードなどと同様、ギフトカードは消費税法上「物品切手等の譲渡」に分類されるため、非課税取引に該当します。そのため、仕入税額控除の対象にもなりません。(国税庁「No.6229 商品券やプリペイドカードなど」)
二重課税の防止
ギフトカードに消費税をかけると、カード購入時と、そのカードで商品やサービスを買ったときの二度にわたり課税されてしまいます。これでは同じ取引に対して税金が重複するため、消費税法では「プリペイドカード類の譲渡は非課税」と明記されています。
実際に消費税が発生するのは、カードを使って商品やサービスを購入した瞬間だけです。カード自体の購入や従業員への配布段階では課税されません。経理処理では
- ・ギフトカード購入:非課税取引
- ・ギフトカード使用時の商品購入:課税取引
という二段階を分けて記帳してください。
具体的なケーススタディ
(国税庁通達〔給与等に係る経済的利益〕)
ケース 1:創業記念でのギフトカード配布
IT企業A社は創業15周年を記念して、全社員50名に一律1万円分のAmazonギフトカードを配布しました。この場合のポイントは次のとおりです。
- 税務区分: 課税対象とならない (条件により異なる)
根拠:支給する記念品が 1万円以下で、かつ創業後相当な期間(おおむね5年以上)ごとに支給するものであれば課税しなくて差し支えないとされている。
(国税庁通達 36‑22)
会社の処理:配布額を給与に加算し、源泉徴収を実施。年末調整で最終清算する
ケース 2:結婚祝いでのギフトカード配布
営業部の田中さんの結婚に際し、就業規則に基づき3万円分のAmazonギフトカードを贈呈しました。
- 税務区分:福利厚生費として非課税処理が可能
根拠:慶弔見舞金は福利厚生の一環として認められやすい。ただし金券支給は課税リスクが高いため、金額が社会通念上妥当かどうか、規程が整備されているかを総合的に判断する
会社の処理:福利厚生費として経費計上。非課税要件(全従業員対象、就業規則への明記、金額の妥当性など)を満たしているかを必ず確認し、証跡を保管する
ケース 3:営業成績優秀者 表彰でのギフトカード配布
不動産会社C社では、上半期の営業成績1位の佐藤さんに対し、表彰として30万円分のAmazonギフトカードを支給しました。
- 税務区分: 給与所得として課税対象
根拠:営業成績に対する報奨は、従業員の労務の成果に対する対価とみなされるため、支給されるギフトカードや商品券、プリペイドコードなどの「現金同等物」は、所得税法上の給与所得として課税対象となります。この考え方は、国税庁の「タックスアンサーNo.2591」や、所得税基本通達36-21における永年勤続表彰との区別からも確認できます。
なお、通達36-21は「永年勤続者への記念品支給」に限定した非課税要件を定めており、営業成績優秀者への表彰は対象外です。
会社の処理:30万円分のギフトカードを給与として扱い、支給月の給与に加算。源泉所得税を含む各種控除を反映し、年末調整または月次で清算を行います。これらの事例から分かるとおり、金額の多寡よりも「用途」と「支給理由」が税務判断の軸になります。特典内容が金券である場合はとくに課税リスクが高いため、事前に就業規則と税務通達を突き合わせ、適切な会計処理と源泉徴収を徹底してください。
安全にAmazonギフトカードを配るための5つのポイント
配布目的を明確にする
創業記念・営業表彰・慶弔見舞いなど、何のために支給するのかを最初に整理します。目的によって課税区分(給与課税か福利厚生費か)が変わるため、社内ガイドラインや国税庁通達と突き合わせて判断しましょう。
社内規程を整備・周知する
福利厚生費として非課税扱いをめざすなら、就業規則や内規に支給条件・金額を明記し、全従業員へ周知します。書面化されていないルールは税務調査で否認されやすいため要注意です。
金額は社会通念上妥当な範囲にとどめる
慶弔見舞いであれば数千円〜数万円、永年勤続表彰でも10万円を超えない程度が一般的な目安です。高額ギフトカードは「報酬」と判断されやすく課税リスクが高まるため、相場を参考に設定しましょう。
配布記録と証憑を残す
「誰に・いつ・いくら・何の目的で」渡したかを、領収書や社内申請書とともに保存します。クラウド会計やワークフローに紐づけておくと、税務調査時の説明負担を軽減できます。
最新の税務情報を専門家に確認する
通達や解釈は更新されることがあるため、迷ったときは税理士などに相談してリスクを最小化しましょう。最新情報を踏まえることで、追徴課税やペナルティを防げます。
よくある質問と回答
Q1: 全社員に一律で配れば福利厚生費になりますか?
A1: 配布の目的で判断が分かれます。創業記念や業績達成記念など“報奨”に該当する場合は、全社員一律でも給与所得として課税されます。一方、災害見舞いや慶弔見舞いなど社会通念上の福利厚生目的であれば、非課税となる可能性があります。
Q2: 部長以上だけに配る場合はどうなりますか?
A2: 特定の役職者だけを対象にすると「全従業員に平等」という条件を満たさないため、原則として給与課税の対象になります。福利厚生費として非課税にしたい場合は、同じ条件に該当する全社員へ公平に支給する必要があります。
Q3: 現金の代わりに Amazon ギフトカードを渡せば節税になりますか?
A3: 節税効果はありません。税務上、Amazon ギフトカードは現金同等物と見なされるため、現金支給と同じく給与課税されます。課税区分を変える目的で現金をギフトカードへ置き換えても、税額は基本的に変わりません。
Q4: 税務調査で指摘されたらどうなりますか?
A4: 課税漏れを指摘された場合、会社は源泉所得税の不足分に加え、不納付加算税や延滞税を負担することになります。従業員から不足税額を徴収する必要も生じるため、会社・従業員の双方に追加の金銭負担と事務負担が発生します。事前に社内規程の整備と正確な源泉徴収を行い、リスクを未然に防ぐことが重要です。
まとめ
Amazon ギフトカードやほかの金券を社員に配布する場合は、「何の目的で・どのように・いくら配るか」が課税判定の分かれ目です。
【課税される場合(給与所得)】
- 社内表彰、業績達成記念、創業記念(条件により課税されない場合も)などの目的で配布
- 特定の社員のみを対象とする配布
- 社会通念上相当でない高額な配布
【課税されない場合(福利厚生費)】
- 結婚祝い、出産祝い、病気見舞いなどの慶弔見舞い
- 適切な規程に基づく配布
- 社会通念上相当な金額での配布
会社側は源泉徴収義務を負うため、支給形態を決める前に 社内規程の整備・金額設定・記録管理 を済ませ、あいまいな運用を避けましょう。迷う場合は税理士など専門家へ事前相談し、税務リスクを最小化することが安全策です。
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