自治体給付金 Visaギフトカード導入事例|議会・首長・庁内をどう動かしたか――合意形成プロセスの実際
※画像出典元)Photo-AC
要点
業種・業界
人口3,000~70万人規模の地方自治体です。
物価高騰対策や子育て支援を中心とした住民向け給付事業を、企画政策課、およびそれに関係する課が連携して進めるケースが対象になります。
事業の性質上、担当課だけで意思決定が完結することはほぼなく、議会承認、首長レク、庁内他部署との調整、そして他自治体とのベンチマークが、配布手段の選定と同じくらい重要なプロセスとして存在しているのが特徴です。
抱えていた課題
ヒアリングを重ねるなかで、自治体のご担当者が口を揃えておっしゃるのは「予算がないと何もできないのが自治体だ。だからあくせくしすぎないほうがいい」という現実です。
一方で「無料の提案であっても説明責任は必ず発生する。絶対的・法律的・前例的な根拠を求められる」ともおっしゃっていました。
整理すると、合意形成での悩みどころは概ね3つでした。議員・市民への説明材料をどう揃えるか、首長や知事の意向と現場感のギャップをどう埋めるか、そして情報漏洩・法令違反といったリスクをどう先回りで潰すか、です。
配布手段そのものよりも、ここで詰まって事業が前に進まないというお話を何度も伺いました。
解決策
弊社(インコム・ジャパン)からは、「商品を売る前に、ご担当者が庁内で説明しやすい状態を作る」というアプローチを取りました。
具体的には、他自治体の導入事例(匿名化したもの)などの資料を商談初期からご提供しています。
「100ページの分厚い資料」ではなく、「聞かれたことにスピーディーに答えられる」状態を一緒に作ることを意識しました。
採用理由
ご担当者の言葉でまとめると、
「他自治体の動きが見えて判断しやすかった」
「議会で聞かれそうなことに先回りで答えを用意できた」
「首長レクが短時間で済んだ」
の3点に集約されます。
あるご担当者は「企画段階で他市に直接電話することはあまりない。普段はインターネット検索か、業者に直接聞く」とおっしゃっていて、ベンダー側が他自治体の動きを集約してお伝えすることへのニーズが高いと感じました。
導入後に変わったこと
Before:
議員や首長に何を聞かれるか分からず、過剰に厚い資料を用意して時間切れになる。
他自治体の動きが見えず、判断が後手に回る。リスク観点の整理が不十分で、議会で詰まる。
After:
聞かれたことに即答できる状態が作れるようになり、首長レクや議会答弁が短時間で済むようになりました。
他自治体の動向が見えることで「うちもこの方向で行ける」という判断が早まり、企画から配布までのリードタイムが短縮されています。
合意形成は「商品選び」より時間がかかる――現場で起きていること
議員・市民への説明は「100ページ」より「即答できる1枚」
ある自治体のご担当者から伺った話で、今でも印象に残っているコメントがあります。
「聞かれたことにスピーディーに答えることが大事。100ページの資料を作ってもほとんど読まれない」。
これは首長レクや議会答弁の場面で繰り返し感じておられることだそうで、別の自治体でも「知事レクで紙だけで終わる場合もあれば、直接対面でやる場合もある。どちらにしても、聞かれたことに即答できないと話が前に進まない」というお話を伺いました。
ここで効いてくるのが、想定問答集を先回りで用意しておくことです。
「使用期限はいつまでか」
「使えない店舗はあるか」
「個人情報の取り扱いは大丈夫か」
「他自治体ではどう運用しているか」
――議員や市民から飛んでくる質問は、自治体が変わってもかなり似通っています。
弊社では商談初期に、過去の自治体で実際に出た質問を整理したQ&A集をご提供しています。
「これがあれば議会対策の準備時間が半分以下になった」というお声をいただいたこともあり、商品スペックよりもこちらの方が刺さるケースが多いと感じています。
加えて、付帯情報の出し方も大事です。
「こういうトラブルはこれくらいの比率でしか起きていない」
「米国ではこういう運用事例がある」
といった周辺データを添えることで、議員側の不安が解消されやすくなります。
あるご担当者は「数字で言ってもらえると、議員にも市民にも説明しやすい」とおっしゃっていました。
首長・議員の意向と現場感のギャップ――「市民の良いが決められない」構造
自治体の意思決定でとても本質的なお話を伺ったことがあります。
「企業ならお金を稼げればよい、というシンプルな基準がある。でも自治体は『市民の良い』が決められない。だから知事や市長の意向が強く出やすい」――。
これは商談を進めるうえで、頭に入れておくべき重要な構造だと感じました。
別の自治体でも「市長が選挙のときの公約をチェックする必要がある。公約と合わない事業は通りにくい」というお話がありました。
配布手段の選定一つを取っても、「現金が良い」と公約に書かれていれば、いくら費用対効果でVisaが優れていても通すのが難しくなります。
ここで重要なのは、首長や議員の意向を「壁」として捉えるのではなく、「言語化のサポート」として向き合うことだと考えています。
あるご担当者は「スピード優先は市長の意向だった。だから現金振込ではなくVisaを選んだ」と振り返っていました。
首長が大事にしている軸(スピード、地元還元、デジタル推進など)を先に把握して、それに沿った提案の出し方を一緒に整理する。これが商談を前に進めるうえで効くポイントです。
逆に避けたいのは、「知事や新聞が先に知って、担当者が後から知る」というパターンです。
あるご担当者は「これが一番最悪のシナリオ」とおっしゃっていました。
ベンダー側として情報発信を行う際は、必ず先に担当者へ共有するという基本動作を徹底するようにしています。
リスク整理は「個人情報・法令・前例」の3点で先回りする
合意形成でもう一つ詰まりやすいのが、リスク観点の整理です。
「情報漏洩なら基準がある。法令違反は即NG」とあるご担当者は明言しておられました。
逆に言えば、この2点をクリアにできれば、議論はかなり進みやすくなるということです。
Visaギフトカード方式の強みは、振込口座を収集しないため個人情報のリスクが構造上低いことです。
現金振込方式では、口座情報の収集・管理・廃棄の各段階でリスクが発生しますが、Visa方式ではそもそも口座情報を扱いません。
この点は議会説明でも分かりやすく、ご担当者から「説明しやすかった」というお声をいただきます。
法令面についても、Visaギフトカードは資金決済法に基づくスキームとして整備されているため、新規事業として一から法令確認をする必要がありません。
「前例があるか」も重要な観点で、複数自治体での導入実績をお伝えできることが、議会・庁内での安心材料になっています。
加えて、ある自治体で印象的だったのは「事業に関連して、その自治体に住んでいる人に影響があるなら、リスク情報は必ず開示すべき」というスタンスでした。
起こりうるトラブルを隠さず、発生確率と対策をセットで提示することが、結果的に信頼につながります。
Visa方式で発生しうる磁気不良や残高確認の煩雑さも、最初から開示してご提案するようにしています。
他自治体ベンチマークは「直接電話」より「ベンダー経由」が現実的
自治体間の情報共有について、興味深いお話を複数の自治体で伺いました。
「包み隠さず情報は他自治体と共有する文化がある」
「郡部レベルだと連携が多い」
「セミナーや勉強会で情報交換するし、話を聞きたいと言って断られることはまずない」
――。
一方で「企画段階で他市に直接電話することはあまりない。普段はインターネット検索か、業者に直接聞く」というご担当者も多く、実態としてはベンダー経由で他自治体の動向を把握しているケースが多いと感じます。
ベンダー側が他自治体の導入事例や運用実績を集約してお伝えすることに、情報源としての実需があるということです。
「千代田区で配っていたのを知っていた。出遅れたので他市の動きを見て決めた」と振り返るご担当者もいて、先行事例の有無が意思決定のスピードに直結している様子が見て取れます。
弊社では、商談時に他自治体の導入事例(匿名化したもの)と運用実績データをお持ちするようにしています。
「他市はどうしていますか?」というご質問にその場で答えられる準備があるかどうかが、商談の進度を大きく左右するポイントです。
加えて、AI活用が進んでいる自治体(例えば横須賀市など)をベンチマークとして挙げるご担当者もいらっしゃいました。
デジタル化の文脈で「他自治体が先に動いている」という事実は、議会説明でも強い材料になります。
この事例からわかる合意形成支援のポイント
「商品」より先に「説明資料」を渡す
議会答弁・首長レク・庁内調整で使える資料商談初期にご提供することで、ご担当者の動きやすさが大きく変わります。
商品スペックの説明より、こちらの方が刺さるケースが多いです。
首長・議員の意向は「壁」ではなく「軸」として扱う
公約や首長の重視ポイント(スピード、地元還元、デジタル推進など)を先に把握し、その軸に沿った提案の組み立てを一緒に行うこと。
これが商談を前に進める一番の近道です。
他自治体の動向をベンダー側が集約して届ける
企画段階で他市に直接電話するご担当者は少なく、ベンダー経由で他自治体の動向を把握しているのが実態です。
匿名化した導入事例と運用実績データを商談時にお持ちすることが、意思決定のスピードに直結します。
よくある質問
Q:議会説明用の資料はどこまでサポートしてもらえますか?
A:自治体のご要望に合わせた資料(Q&A想定集、他自治体の事例など)をご提供しています。
過去自治体で実際に議員から出た質問を整理した想定問答集もありますので、商談時にご相談いただければお持ちします。
Q:首長や議員が「現金派」の場合、どう進めればよいですか?
A:「現金 vs Visa」の二項対立で押すのではなく、首長が重視されている軸(スピード、地元還元、データ活用など)を先に伺い、その軸に沿った比較表でご説明いただくのが効果的です。
公約との整合も先回りで整理しておくと、議論が前に進みやすくなります。
Q:他自治体の導入事例は教えてもらえますか?
A:自治体名を匿名化したうえで、導入規模・配布手段・運用実績などをお持ちしています。
「他市はどうしていますか?」というご質問に商談の場でお答えできるよう、最新情報を更新しています。
Q:情報漏洩のリスクが心配です。Visaギフトカード方式での対策は?
A:振込口座を収集しない設計のため、個人情報の取り扱い範囲がそもそも狭い構造になっています。
発行から無効化までの各工程でのデータ管理についても、商談時に整理シートでご説明しています。
Q:「知事や新聞が先に知って担当者が後から知る」事態は避けたいのですが?
A:プレスリリースや業界向け発信を行う際は、必ず事前に担当ご担当者へ共有する運用としています。
情報発信のタイミングについても、商談段階ですり合わせさせていただきます。
